ITO Sports Project:イトースポーツプロジェクト
お問い合わせ  
インタビュー - インデックス 概要 プロジェクト実績 リンク トップページへ戻る
上野由岐子 腹を括った北京 - 「自分の身体を自分で知ること」の必要性 -
治療器の存在が、安心感を与えてくれる
- 2005年に「携帯型小型電流刺激装置」を購入されたそうですが、使用感は?
上野 「とても融通が利く治療器だ」という印象です。小さくて持ち運びがラクなので、食事をしているときも、外出しているときも、ポケットに入れておけばいい。わざわざトレーナー室に足を運ばなくても、自分のタイミングで使うことができるので、とても便利です。もちろん北京オリンピックにも持って行きました。セルフケアの一つとして、今ではとても重要なものになっています。
- 実際の効果は?
上野 「早く治っているかな」という感じはありますし、何よりも治療器があることで安心感が芽生えてきます。競技を続けている以上、ケガはつきものですが、それを最小限に食い止めてくれるのが「携帯型小型電流刺激装置」や「超音波治療器」ですから、そういった意味ではメンタル的にとても大きな存在です。練習中は追い込まなければいけないし、どうしても身体を痛めつけることになります。けれど、それをケアしてくれる治療器があるからこそ、毎日全力で練習に取り組めるんです。「明日に疲れを残したくないから、今日は80%程度の練習で止めておく」では上手くなりません。でも、治療器があれば、今日も明日も、100%の練習をすることができます。いかにベストパフォーマンスを発揮するかが自分にはすべてなので、治療器には助けてもらっていますね。
- 治療器が「心の支え」になっているわけですね?
上野由岐子
 
上野 はい。いつどこでケガをするかわからない状況のなかでも、「自分にはトリオがあるから大丈夫だ」という安心感があるから、冷静さを失わずにいられるんです。いい治療器を使ったからといって、骨折が翌日治ったりすることはありません(笑)。ですが、「治らないなら使わない」のではなくて、進んで治療器を使ってみる。そうすることで心境が変化するし、実際に身体の反応も違ってくると思うんです。治療器を使うのも使わないのも自分次第。使わなければ、どんなに優れた性能を持っていても、「ただそこにあるだけ」で終わってしまいます。私たちは、もっともっと勉強していかなければいけないし、経験していかなければいけません。そのためには、自分のプラスになるように治療器を活用することが必要だと思います。
     
     
人のせいにしていたらいい結果は出ない
     
- 以前からセルフケアに対する意識は高かったのですか?
上野 最初は自分の身体をケアすることに無頓着だったんです。でも競技を重ね、いろいろな経験をさせてもらっているうちに、「自分の身体を自分で知ること」の必要性を感じました。全日本の活動で遠征に行くときなどは、いつも診ていただいているトレーナー(ルネサス高崎の古川雅貴トレーナー)は帯同できませんから、ある程度、セルフケアの意識を持っておくことが大切です。
- アテネオリンピックのときは、現地で風邪を引くなど、コンディションが万全でなかったそうですね。アテネ以降、セルフケアの考え方は変わりましたか?
上野 自分の身体をどのようにコントロールしていけばベストに持っていけるのかを考え、試行錯誤をしてきた4年間でした。コンディションは毎日違いますから、正直なところ、その日になってみないと調子がいいのか悪いのかわかりません。風邪を引くことが前もってわかっていれば予防できますけど、それがわからないから、風邪を引いてしまうことがあるわけですよね。それと同じで、明日になってみなければ、明日の体調はわからない。だけど、明日の体調が少しでもいいものになるように、今日、最善を尽くすことが大事ではないでしょうか。「携帯型小型電流刺激装置」を使うのも、最善を尽くすためという理由からです。
- それでも試合当日にコンディションが上がらないときは?
上野 そのときは、その日のコンディションのなかでベストを出すしかありません。悪いときにどうやって結果を出していくのかを考えていくのがアスリートだと思うので。
- ということは、自分のコンディションを自分で把握する力が必要になりそうですね。
上野 自分が今どのようなコンディションなのか、他人には絶対にわからない問題なんです。自分の体調は自分しかわからない。痛いのか痛くないのかは自分しかわからない。なので、人任せにはできません。アスリートは自分の身体の変化を敏感に感じる取ることが必要で、それができれば、どんな状況でもベストパフォーマンスが出せるんじゃないかと思います。治療器があっても、自分がどういう状態なのかがわかっていなければ、その効果を最大限に活かすことはできないでしょう。
- 自分のことは自分で責任を持つようにしないと、コンディションもパフォーマンスも上がっていかないわけですね。
上野 人のせいにしていたら、絶対にいい結果が出ないと思うんです。やっぱり、自分を信じてやっていかないと……。そのためには、自分を信じられるだけの知識を持っていないといけないし、努力も経験も積んでいかなければいけません。自分で考えて、実践していれば、たとえ失敗しても、素直に反省することができます。でも人任せにしていては、失敗を人のせいにしてしまい反省できません。それでは次につながらないんです。
 
     
     
結果を出すためには休みやリラックスも必要
     

 

- 『情熱力。』(創英社/三省堂書店)という著書のなかで、オフのときでさえ「いつでも再起動できる状態にしておく」と語っていますが、休みのときもソフトボールのことを考えているのですか?
上野 私にとってソフトボールは、仕事でもあり、プロフェッショナルとしてやらせていただいていますから、結果がすべてだと自覚しています。そのためには、休むことも、リラックスすることも必要です。1日だけ休むことも、ときにはまとまった休暇をもらうこともありますが、そんなときでもどこかで練習のことを考えている自分がいますね。「休みたい」というよりも、ソフトボールで結果を出すために「休まなければいけない」という感じですね(笑)。
- 練習後にプロテインを摂取するなど、栄養にも関心が高いようですね。
上野 身体の変化は食事にも左右されるので、自分が口にするものには責任を持つようにしています。身体を酷使する仕事ですから、プロテインやサプリメントを摂ったりして、いち早く回復させなければなりません。結局のところ、自分の身体は自分で守ってあげないといけないと思うんです。
     
     
     
- アテネ以降、コンディションに対する考え方や取り組み方が変わり、その結果、北京オリンピックに自信を持って臨めたといえそうですね?
上野 それはあります。気持ちの余裕が違いました。ここまでやってきたのだから、「これで負けたらしかたがない」と腹を括ることができたんです。だから不安もなく、思い切りやれたんだと思います。
- 北京オリンピックが終わり、一つのプレッシャーがなくなりました。ソフトボールとの向き合い方は変わりましたか。
上野 違った楽しさもあり、一方で物足りなさもあり、「オリンピックってやっぱりすごかったんだな」とあらためて感じている自分もいるし、いろいろな思いがあります。オリンピックを背負ってきた自分と、そこから解き放たれた開放感のある自分を、いろいろな形で感じているところです。ただ、オリンピックのままの自分ではいけないし、さらに進化していきたいし、さらに成長していきたいし、新しい自分を探していこうと思っています。
- 将来的には、指導者になる夢も。
上野 私は、中学、高校のときのソフトボールのイメージを今も持ち続けていて、そのころのソフトボールが楽しかったから今日まで続けてこられたんです。ですから、今の中学生や高校生にも、その楽しさを感じてほしい。私からソフトボールがなくなったら、何も残らないんです。この先もソフトボールを続けて、ソフトボールの楽しさを伝えたり、ソフトボールの底辺を広げていければいいな、と思っています。それも一つの目標ですね。

     
上野 由岐子 (うえの・ゆきこ)

1982年7月22日福岡県生まれ。小学校3年時にソフトボールを始め、柏原中学、九州女子高校を経て、2001年に日立高崎(現:ルネサス高崎)に入社。現在は、投手兼ピッチングコーチとして活躍する。アテネオリンピックではオリンピック初の完全試合を達成し、銅メダルを獲得。2008年の北京オリンピックでは準決勝以降の3試合を一人で投げ抜き、金メダルに貢献した。「上野の413球」は、流行語大賞の特別賞を受賞している。(2008年球歴:北京オリンピック金メダル、リーグMVP、最優秀投手賞、最多勝利投手賞、リーグベストナイン)
  上野 由岐子 (うえの・ゆきこ)
     
 
前のページに戻る 前のページに戻る
このページのTOPに戻る このページのTOPに戻る
 
   
Copyright © Ito Co,. Ltd. All right reserved.